2002年 6月号


日本が太刀打ちできないユダヤの世界的情報ネットワーク

私は三十数年間で世界64ヵ国を訪問し、小学校の頃から読み始めた新聞で得た知識を経験や見聞で検証し、自らの歴史観、国家観、世界観を確立してきた。今、思えばこのことが、結果的に私が日本を俯瞰し、客観的に未来予測をすることに大いに役立っているように思う。かつて私は本誌で、「米国を支配しているのはWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)だと言われているが、本当は米国の金融と法律・情報を実効支配しているのはユダヤ人である」と書いたことがある。1980年代の中ごろ、私の友人に米国で不動産デベロッパーを営んでいるユダヤ人がいて、彼との親交は深かった。日本の不動産がバブル期に高騰していく過程で、彼は「日本人はクレージーだ、不動産価格が上昇して、投資利回りが金利を下回ってきたにも拘らず、まだ買い続けている。いずれ不動産は暴落する」と予言していた。不動産価格を収益還元法で評価するというビジネスモデルが日本になかった時代である。米国ではどれだけの投資でいつまでにどれだけの収益が上げられるかがビジネスの重要課題で、金利を下回る収益しか見込めない不動産投資には見向きもしない。
そんな話を聞いていた矢先、87年10月に米国でブラックマンデーと呼ばれる株価の大暴落が起こった。そのときユダヤ人の彼の言葉が私の脳裏に蘇った。すでに投資利回りが金利を下回っている日本の不動産は必ずや暴落すると直感したのだ。私は所有する不動産資産の転売を決意して次々に処分した、処分する過程でも地価は上昇しているので、早く処分しすぎではないかと周囲からも言われたが、地価は絶対に下がると読んでいた。経済原則的に考えられない現象はいずれ是正されるという確信のもと、次々と転売を進めていくなか、バブルの崩壊を迎えたのである。
ユダヤ人が米国で確固たる地位を築いていることを実感したのは、私が親交あるユダヤ人の所有するロールスロイスを運転して、彼とユダヤのクラブに行ったときのことだ。当時、まだ携帯電話が普及してない時代だが、そのクラブの座席のすべてに電話が設置されており、豪華な店内の壁面全面に世界の穀物相場や原油価格や株式市況、為替レートなどの電光掲示板が目まぐるしく回転しており、ゲームに興じたり、ワインを飲み食事をしながら、情報交換をし、電光掲示板に目を光らせ売買の注文を出したり、原油の先物市場に投資をしたりする現場を目の当りにした。私は彼に「ユダヤのこのクラブに入会するにはどんな資格がいるのか?」と聞いた。当時、ユダヤ人ではないレーガン大統領も所属しているとのことだったので、ユダヤ人でない私も入会できるのかと質問したところ、「誰でも入会できる。簡単な審査だけ。申込用紙に形式的なことをいろいろ記入するのだが肝心なことは一つだけで、その欄を埋めてくださるだけでいい」との返事が返ってきた。その 質問とは「かつてあなたはイスラエル国家にどのような貢献をしたことがあるのか?」だった。私は兵役も寄付行為もイスラエル国家に貢献したことがないので入会申込はしなかったが、この時私は米国とイスラエルとは一体だと如実に感じた。ユダヤが世界中に張り巡らした世界的情報ネットワークは、いまの日本など到底、太刀打ちできるものではない。私はユダヤ人の先を読む情報分析力やワールドワイドなビジネス戦略がいかに鋭いかを、当時米国滞在中に学んだのである。


内乱分裂の危険がある超大国、中国

先日、産経新聞紙上で、大阪産業大学講師の佐伯氏が「餓死か貿易か〜国際ビジネス戦士の五大陸商戦」と題した記事を寄稿していたが、氏は世界60ヵ国以上で厳しい商戦を自ら体験してきただけあり、「泣き寝入り民族よ、目覚めよ。」と日本を叱咤激励しつつ、壮絶な体験を述懐しておられる。南アフリカの南ア航空機で有色人種というだけでひとり最後尾に座らされて、完全隔離され厳しい人種差別を味わされたり、香港、フィリピン、タイ、ビルマなどで「日本は世界を相手によく戦ってくれた。おかげで植民地搾取から独立できた」と感謝されたことなど、実に面白いエピソードを紹介しておられる。私もこれらの多くの国を訪問し、南アでの人種差別やインドネシアでの日本軍への評価など、時代は違うが似たような体験をしてきた。氏の体験と主張は多くの示唆に富んでおり、実に興味深い。「オイル危機の絶頂期、パリで同宿のユダヤ系米国人と徹夜で世界経済談義をしたが、世界中が“日本株式会社は破綻する”と見ていたのに、彼は日本の自動車産業の素晴らしさを指摘。ほどなく日本車は米国を席巻したことなど、対日見識の的確さ、迅速さに脱帽した」ことがあった。世界の第一線で活躍してきたかつての日本のビジネスマンは、今日の日本の構造不況と停滞状況からは想像もできないエネルギーを有していたことを忘れてはならないだろう。
私も文化大革命末期の中国に招待されたことがあるが、それは努力しても報われない計画経済のため、生産性が伴わない不幸な時代だった。が、先日、四分の一世紀ぶりに上海を訪れたところ、その変貌と成長ぶりに驚き、かつ脅威を感じて帰国した。が、この10数年の中国の自信と繁栄には驚かされるものの、この繁栄の全ては中国の低賃金が源泉であり、今のハイテク・IT革命の未来は生産のロボット化であって、低賃金労働の有効性はここ7〜8年程度の過渡的なものであると思う。私見では、13億の民を一国の政府のもとに支配する、人類史上、かつてない実験をしている中国は強力な中央集権が無くなれば、いずれ分裂をすると予測している。何故なら中国は、経済は資本主義市場経済で、政治は共産党一党支配の社会主義で未だ民主主義は根付いておらず、現在の江沢民政権も、登小平のお墨付きだけで決まったものであり、ごく一部の外資と関わりのある沿海部の都市だけが過度に発達し、他の内陸部と貧富の格差がどんどん拡大していることで、内部矛盾がますます増大している。実際、「中国にホテルやビルを建設してくれないか」というビジネスが私の会社にもよく持ち込まれたが、中国で投資するにはカントリーリスクが大きすぎると断ってきた。私は6年後のオリンピック後が心配だ。ソウルも長野もオリンピックの後の経済停滞がきつかったことを考えれば、ポストブッシュのこのあたりが危ない。
日本はこの現実に覚悟はあるのか。


目覚めよ!泣き寝入り民族「日本」

前述した佐伯氏は、日本が国際社会で名誉ある地位を保ち、リーダーシップを発揮するための七つの原則を挙げておられるが、私の持論との共通点もあるので紹介したい。
一、恐れずはっきり発言せよ。沈黙は敗北自認。迎合を辞めよ。
氏の主張にまったく同感である。主張すべきことは主張しないと「嘘が本当になる」。中国が南京大虐殺の問題を繰り返し過大に誇張して採り上げるのは対日外交戦略であることを我々は看破し、反論する必要がある。
二、理論武装は頑丈に、簡単明瞭に。
日本人はトラブルになることを恐れて反論せず、不利に解決させられたりすることが多々ある。 欧米社会ではタフネゴシエーター、つまり、強く交渉できる人間を評価する。
三、一度言ったことは押し通す。
小泉首相が8月15日に靖国神社に参拝すると表明しながら13日に変更したことで、どれだけの国益を失ったかを知るべきだろう。
四、訥弁でも相手を揺さぶる英語を身に付けよ。

この点は、私の意見は佐伯氏とは異なる。ビジネスは、自分自身が最も得意な言語で交渉すべきである。欧米企業の訴訟は、日系の弁護士では歯が立たない。日系の弁護士を通訳として雇い、ユダヤの弁護士を使うべきというのが私の持論である。法律はユダヤが支配しており、米国は訴訟社会であることを忘れてはならない。下手な英語で交渉するのはいちばん危険。むしろ日本語で大きな声で堂々と主張するのが私のやり方だ。
五、公平の原則を盾にせよ。自虐は日本だけのもの。
自虐的に振る舞うのは日本人だけ。欧米人はスキあらばと挑んでくる。明治の日本人は堂々と振る舞い決してなめられなかった。私も30年前、米国に行ったころは人種差別の露骨さを感じたが、私は堂々と日本語で背筋を伸ばし、Can you speak Japanese?と尋ねた。相手がNOと言えば、では私のブロークンな英語でやりましょうというのが私の交渉術。いまの日本人は先にCan you speak English?と問われ、最初から負けている。言われる前に言え!が欧米人との交渉術の鉄則である。
六、脅しに負けない
冷戦勝者米国は、米国の国家戦略に則って、日本が戦後の物づくりで蓄えた1400兆円を謀略と米国基準の押し付けで収奪しようとしているのに気付かない政治家、官僚、マスコミは嘆かわしい。10年にわたるとめどない不動産の下落も、いわば米国の国家金融戦略と言えなくもない。これはプラザ合意から始まった一連の施策を点検すれば明らかである。
七、気概をもって世界に対し、日本の信念を述べよ。
今の日本に必要なのは、私が再三、述べている自虐史観を改め、しっかりした歴史観と世の取得と譲渡にかかる税を一定期間ゼロ税率にするとともに、固定資産税を半額とし、建物付きの不動産については実売価格の2〜3倍ともなる固定資産評価額を実際の界観に基づく国家観を持つことである。それとともに、現下の資産デフレ不況に歯止めをかけるべく、大幅規制緩和と不動産売買の価格にすべきである。そして、投資減税の拡充と加速度償却制度の導入により、需要を喚起することが何よりも早急に必要だ。このままでは日本は沈没する。
選挙互助会的既存政党を解体し、政策で一致する救国内閣を作り、小さな政府を実現し自虐政策を改め、民族の誇りと自信を取り戻すべきだ。


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