2002年 4月号


現下の閉塞状況が地価の下落にあることを言い出せないマスコミと旧大蔵官僚

地価と株価のいつまでも続く下落とペイオフの凍結解除が、日本の金融システムを激しく揺さぶっている。この現下の日本の閉塞状況を打ち破る方策は一つしかない。それはかつてのバブル潰しに走った財務省(旧大蔵省)と、日銀、マスコミが自らの失敗を認めて結束して早急に地価の安定と上昇を促すことである。地価が下げ止まれば株価も上がり始め、不良債権も減少する。それを言い出せないマスコミと官僚がそれを避けて景気回復を図ろうとして、多くの企業や銀行・住宅ローンとセットでマンションなどを所有する国民に塗炭の苦しみを与えている。今必要なことは、大幅不動産政策減税と加速度償却制度の制定と大型投資減税の実施。更に個人の住宅の償却とローン金利の全額損金算入を認めること。そして、あらゆる分野の大幅規制緩和だ。
関西空港から札幌までの航空運賃が、往復すると7万1000円にもなる。いまや中国や東南アジアでも、2泊3日でホテル代も込みで4、5万円で行ける時代にである。日本の空の運航は国土交通省が許認可権を有しており、お上に保護され国内の航空会社だけで談合する。日本の空を
外国の航空会社にも開放すれば、いきなり航空運賃は2分の1以下となるはずだ。航空運賃が半額になることの経済波及効果は絶大である。
不良債権の処理をすれば景気が回復するかのような
小泉・真紀子マジックによる80%もの高支持率は、国家観も国益も考えないナルシストの田中外務大臣の更迭と、病人に冷水を浴びせるような小泉政権の自虐政策による景気の悪化で解けかけてきている。中曽根元首相は国鉄を民営化したり電電公社を分割するなど、構造改革に有効な実効策を成し遂げた。規制緩和して民間に参入の余地を与えることで、本来の資本主義市場経済社会の強みが出てくる。しかるに、小泉内閣は構造改革、構造改革と念仏のように唱えているだけで、一向に何も変わらない。まず地価のスパイラルな下落にストップをかけ、貸し渋りデフレ不況から脱し、景気回復を図り、票と金と天下りの、政・官・業のトライアングルを解体して初めて、小泉改革である。


マスコミの怠慢が日本の社会を暗くしている

狂牛病対策の在庫牛肉買い取り制度を悪用した雪印食品の偽装問題が騒がれるなか、消費者の不信感を一段と募らせる事件が多発している。高松市での国産牛肉の贈答用商品に米国産牛肉を混入させたり、熊本県では韓国産のミニトマトを熊本産と偽ったり、モラルの低下は目を覆うばかりだ。小売店は取引先に生産履歴の提示を求めるケースが増えてきているが、現在の制度では、加工から納入まですべてを把握するのは極めて困難である。英国ですでに実施しているような、飼育するすべての国産牛に管理番号をつけ、消費者や流通業者が産地などの正確な情報を入手できる制度導入を早急に実施すべきだ。
私が今回の偽装問題で感じることは、マーケットに流通する全てのモノが「ブランド化」し、何が自分にとって本当にいいものか、個々の消費者が見極める力を無くしていることだ。
日本人はブランドを過信する国民性で、ブランドが一流であれば、その品質や素材、価値などを自分で確かめることもなく、ブランドを過信してしまう。
ブランドは、ある意味で裸の王様だ。消費者はブランドを100%信じ切ってはいないが、王様は素晴らしい服を着ているに違いないと思いこんでいるとしか思えない。
では、その責任は誰にあるのかといえば、ブランドに
裸の王様的価値付けをしているマスコミに他ならない。マスコミの威力は絶大だから、多くの消費者が「新聞に書いてあったから、テレビで放送したから間違いない」と盲信してしまう。マスコミ自身もちょっとおかしいと疑問に思ったとしても、他社が掲載しているのに、自社が掲載漏れしてはと恐れて、横並びで掲載してしまう。特ダネや、事件の核心や本質に踏み込んだ記事はなかなか書かないが、特落ちだけは無いようにと気配りする。故にマスコミも談合して、画一的な記事となってしまう。
雪印の牛肉偽装問題にしても、各社とも「濡れた犬は叩け」とばかりに、問題を起こした企業だけをあら探しをして大騒ぎしているが、今現在でも、あらゆる食品を再調査すれば、
全体の2割や3割は、産地や品質、製造期日などの偽装工作をしている可能性が高い。
マスコミも記事の談合より
第四の権力として国民の側に立ち、国益を守り、情報戦を仕掛けてくる周辺国のマスコミと対峙するとともに、政治や行政、法律をチェックしたり、社会正義に反することを摘発する本来の機能を発揮すれば、社会はまだまだ健全化する。そういう論点でみるなら、マスコミの怠慢が日本の社会を暗くしている。


官僚による官僚のための官僚制度

狂牛病問題で引責辞任に追い込まれた農水省の熊沢英昭・前次官が、食肉業界団体などでつくる社団法人に2月に天下りしたが、一部週刊誌が取材を始めた直後に辞任した。またもや業界と行政の馴れ合い体質を見せつけられた感がある。市民感覚とはかけ離れた特権意識丸出しの官僚は、記憶力のみを重視し、創造性も人間性も無視した日教組教育が生み出したデジタル記憶勝者であることは間違いない。議論をする子や疑問を持つ子は成績が上がらない。自分の考えを持たずに与えられた知識を丸暗記することによって、偏差値の高い大学に入り、そこで学んだ人が官僚やマスコミ人になってゆく。日本ほど平然と天下りが行われている国も珍しい。税務職員が何年か勤務すれば税理士の資格が取得でき、顧問税理士としてかつて税務署員として指導していた先の企業にお世話になる。裁判官や検事は、いずれ大企業の顧問弁護士におさまる。政治家は時々選挙の洗礼で切磋琢磨されるが、官僚は21、2歳時での公務員I種試験での順位で一生が決まると言っても過言ではない。外務省も農水省も、どんな不祥事があってもトカゲのしっぽ切りで済ませて省益だけは頑なに守る。
そもそも官から民への発注は、あらゆるものが談合によってなされている。土建業者が公共工事の請負を談合でとるのは公然の秘密だが、建築、土木業界に限らず、文房具からダムまで、談合がないものはないと言っても過言ではない。最近でも、大阪府の公共工事の入札をめぐる汚職事件で、前市議会議長が逮捕されたり、敦賀市では工事入札をめぐる談合情報が市に寄せられ問題となり、下妻市では市長が工事発注を巡る競争入札妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕されたりしている。
では、膿は出されたのかといえば答えはノーだ。政・官・業の癒着や
「官僚による官僚のための官僚制度」が改革されたわけではない。マスコミは天下りや談合の一つずつの泡を時折潰すだけで、個々の新聞記者は談合の事実を知ってはいても、何か事件が起こって話題になるまではそのことに触れない。そしていったん事が起きれば、人のウワサも75日と2、3ヵ月はワイドショー的に大々的に報道するが、その後はまた見て見ぬふりをする。さわらぬ神にたたり無しといった風潮が、マスコミだけでなく全てに蔓延しており、政治やマスコミが健全に機能してないことが、今日の日本の閉塞社会を作っている。
談合が当たり前のように蔓延する背景には、日本人は税金を取られることには敏感だが、その税金がどう使われるかに関心が薄いことが挙げられる。日本の国家予算は単年度予算だから、予算を割り振ったらその予算を使い切らないと、翌年度には予算が削減される。そのため、毎年年末になると無意味としか思えない道路工事による交通渋滞が起きたり、
一年も持たない道路舗装をして毎年予算を取るような、おかしな現象が起こっている。公共工事にしても本当に必要なインフラの投資に予算を投入せず、全国一律に必要不必要にかかわらず人口何万人の町にはこういうものをと、造ったときから壊すまで赤字の箱もの施設に安易に予算を投入する補助金行政を改めて、予算の使い道を徹底的に検証すべきである。
大切なのは、制度の本質を掴み、システムの弊害や不正をただし、国民が本当に納得できる改革を断行していくことだ。


改革は待ったなし目覚めよニッポン

私は一貫して日本は国益を考えない国であることを主張してきた。日本は、たまたま地政学的に周りが海であったり、宗教、民族、言語、国土、あらゆる面で恵まれており、意識しなくても日本では日本人でありえた。国益を考えなくても外敵がいなくて生き残れた。戦後は超大国、米国一国による占領、支配が続いたことも幸いした。東西冷戦時、米国は日本を西側のショールームとして育てていく戦略をとり、日米の利害は一致していた。
ところが国際情勢は冷戦終結とともに激変した。私が再三述べているように、
外資は金融システムを崩壊させ、円安誘導により日本の優良資産や企業を買い叩き、1400兆円と言われる金融資産を狙っている。折しも、2月17日にブッシュ大統領が来日した。小泉首相は会談で、金融機関の不良債権処理を中心とする構造改革の進展状況やデフレへの取り組みを説明したうえで、「短期的には困難があっても、構造改革を断固推進する」との決意を表明した。これに対し、大統領は「日本経済が強じんであることが世界にとって重要だ。引き続き小泉首相を全面的に支持する」と述べ、日本の経済再生に強い期待感を示した。が、ブッシュ大統領の発言を額面通り受け取ってはならない。大統領は米国企業の日本市場への参入と、日本の優良資産の買い占めに手を貸すとともに、日本の協力を取り付けて、「悪の枢軸」と呼ぶイラク、イラン、北朝鮮3国の武力攻撃の可能性を探っている。彼等はグローバリズムを標榜しながら、実はアメリカンスタンダードを押しつけて、更なる一極支配体制の確立を狙っていることは明白だ。
今後、小泉内閣がなんらの
実効ある対応策を実施しないなら、近い将来、大不況、失業者の激増、国債乱発、大インフレ、金利暴騰、国債暴落で国民は地獄の底まで引き込まれることは必至だ。刷り込まれた自虐教育、デジタル記憶重視の偏差値教育、それを補完するマスコミ、それをうまく利用してはびこる官僚機構、それを21世紀に改革していかないと日本の将来は危うい。虎視眈々と日本を狙っている国は米国だけではない。今までのような支配される平和に甘んじていると骨の髄までしゃぶられる。目覚めよ、ニッポン。



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